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5-3.使用済燃料プールからの燃料取り出し計画
(1) 現状
1~4号機の使用済燃料プールは津波の影響により一時的に冷却機能を失ったが、
コンクリートポンプ車(通称キリン)等による冷却水の注水が実施され、使用済燃
料プール内の燃料の冷却は維持された。現在では、循環冷却系により安定的に冷却
されている。燃料取り出し完了までの間は、冷却機能を維持する必要があり、設備
の保守管理を継続しつつ、必要に応じて設備更新等を実施し、信頼性の維持・向上
を図っていく。また、使用済燃料プール水の放射性物質濃度の分析結果等から、大
部分の燃料は健全であると考えられる。
2~4号機の使用済燃料プールは、当初、応急的な処置として海水を注入してい
たことから、使用済燃料プールライニング7やプール内機器の腐食防止のため、現在、
4号機において塩分除去装置を用いた水質改善を図っている。今後、2号機、3号
機でも、4号機同様の水質改善を図っていく計画としている。また、3号機では、
水素爆発によるガレキ混入によりプール水のpHが上昇したため、中和剤(ホウ酸)
注入による水質改善を実施した。今後も水質を継続的に監視し、必要に応じて対策、
改善を図っていく。
(2) 燃料取り出し作業の概要(添付資料2参照)
使用済燃料プールからの燃料取り出しを実施するためには、水素爆発に伴う燃料
取替床上のガレキ撤去、カバー(又はコンテナ)設置による燃料取扱設備を含む作
業環境の整備等を行った後、より安定的な貯蔵状態にするため、発電所内にある共
用プールに移送する計画である。
使用済燃料プールからの燃料取り出しに係る作業ステップを添付資料2に示す。
現在、3、4号機では、本作業の第1ステップである原子炉建屋上部ガレキ撤去作
業と、後段ステップの準備として、燃料取り出し用カバー、燃料取扱設備、構内用
輸送容器等の検討・設計を実施中である。
① 原子炉建屋上部ガレキ撤去
1、3、4号機は原子炉建屋の上部が破損し、燃料取替床上及び使用済燃料
プールに、ガレキが散乱している。そのため、燃料取り出しに先立ち、燃料取
替床上及び使用済燃料プール内にあるガレキを、重機又は燃料取扱設備を用い
て撤去する。なお、1号機については設置済みのカバーの取り外しを含め、今
後、ガレキ撤去作業計画を立案し、これに基づき実施する。
7 使用済燃料プール内面壁への内張りのこと。
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② カバー(又はコンテナ)の設置、燃料取扱設備の設置又は復旧
1、3、4号機は原子炉建屋の上部が破損しており、燃料取り出しの作業環
境保持として風雨を遮るための燃料取替エリアを覆うカバー(又はコンテナ)
を設置する。内部には燃料取り出し作業のための燃料取扱設備を新たに設置す
る。
2号機は、原子炉建屋内が高線量のため燃料取扱設備の健全性は確認できて
いない。今後、除染等により燃料取扱設備への近接が可能となった時に、設備
の点検、修理等を行う。
③ 構内用輸送容器・収納缶の設計、製造
使用済燃料プールから共用プールへの健全燃料の移送は、既存または、新規
に製造する構内用輸送容器を使用する。
破損燃料が確認された場合には、新たに設計・製造する収納缶に燃料を収納
した上で、構内用輸送容器に収納し、移送することで、健全燃料を移送する場
合と同様の安全性を有する対応とする。
④ 共用プール内空きスペース確保/改造
使用済燃料プールから取り出した燃料を受け入れ、貯蔵するエリアを確保す
るために、共用プール内に貯蔵中の健全な使用済燃料を乾式キャスクに収納し、
共用プールから搬出する。搬出先として、発電所内に新たな乾式キャスク仮保
管設備を設置する。乾式キャスク仮保管設備は、保管容量に柔軟性のあるモジ
ュール方式とし、共用プールから受け入れる乾式キャスクに加えて、キャスク
保管庫で貯蔵中の既存乾式キャスクも当面の間保管する。
また、使用済燃料プールから取り出した燃料は、塩分の付着や損傷の可能性
があることから、洗浄等の必要性を検討し、専用の収納場所の設置等、設備の
改造、追設を行う。
⑤ 使用済燃料プールからの燃料取り出し
クレーンにより原子炉建屋の使用済燃料プール内に構内用輸送容器を吊り
降ろし、燃料取扱機を用いて使用済燃料貯蔵ラックから構内用輸送容器に燃料
を収納する。構内用輸送容器は、クレーンにより地上へ吊り降ろし、トレーラ
ーを用いて原子炉建屋から発電所内を共用プールへ輸送する。
なお、構内用輸送容器への収納にあたっては事前に燃料の健全性を確認し、
破損が確認された燃料は、前述の収納缶に収納した上で輸送を実施する。
⑥ 取り出し燃料の保管・管理
共用プールでは、プール冷却浄化系により、水質の純度及び透明度の改善・
維持を図る。なお、海水が注入された使用済燃料プール水を共用プールへ持ち
込まないよう、輸送容器内部水の置換を行う。
(3) 使用済燃料プールからの燃料取り出し計画(スケジュール)
使用済燃料プールからの燃料取り出しは、ガレキ落下、建屋・設備・燃料等の
損傷、線量等の状況により号機毎に必要な準備や取り出しの期間が異なるため、
号機の状況・特性を考慮の上、後続号機では先行号機の知見・実績を反映した
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計画とする。共用プールでは、取り出し燃料受入の他に、既存乾式キャスク点
検、乾式キャスクへの燃料充填・搬出、取り出し燃料受入準備工事等の多岐の
作業が並行して行われるため、安全確保、作業錯綜の抑制と作業迅速化を考慮
した計画とする。
1~4号機の燃料取り出しは、安全確保かつ早期取り出しを念頭に、キャスク
製造、港湾復旧、乾式キャスク仮保管設備等も含めて、燃料取り出し全体を最
適化した計画を検討、立案していく。
原子炉建屋上部ガレキ撤去(上述①)について、重機を用いた作業は、4号機
では2012 年半ばの完了を目指している。3号機はガレキ落下状況が十分確認で
きていないため、2012 年度末頃の完了を想定している。ガレキ撤去後に燃料取
り出し用カバー及び燃料取扱設備の設置(上述②)、並行して構内用輸送容器等
の設計・製造(上述③)を行う。なお、作業エリアの線量が高い号機では、遠
隔操作可能な燃料取扱設備、構内用輸送容器とする。また、共用プールにおけ
る取り出し燃料の受入準備として、2012 年末頃までに設備点検・復旧、乾式キ
ャスク仮保管設備の設置を行う。その後1年間程度をかけて共用プールから乾
式キャスク仮保管設備へ順次搬出し、取り出し燃料受入に必要な空き容量を確
保していく(上述④)。
燃料取り出しは、新たに設置する燃料取扱設備等によるプール内ガレキ撤去、
燃料調査等を行い、原子炉建屋と共用プールにおける準備が整い次第、開始す
る(上述⑤)。開始時期については、最初に取り出しを開始予定の4号機は、ス
テップ2完了から2年以内の開始を目標、3号機は、ステップ2完了から3年
程度後の開始を目標とする。1号機については、3、4号機のガレキ撤去、遠
隔操作設備の操作性・不具合、燃料調査等の知見・実績を把握するとともに、
ガレキ等の調査を踏まえて、具体的な計画を検討、立案する。2号機について
は、遠隔除染技術の確立を踏まえて、建屋内除染、遮へいを行い、燃料取扱設
備への近接が可能となった時に、設備の調査を行い、点検・修理、燃料取り出
しの具体的な計画を検討、立案する。1、2号機の燃料取り出しは、現場の状
況等に依存するものの、第2期(中)の開始を目指す。
燃料取り出し作業については、4号機の健全燃料は、今後の作業環境を想定し、
通常時と同様の設備、作業体制・手順で行う前提で2年程度、2号機も、通常
時と同様の環境が整う場合、1.5年程度と考えられる。一方、1、3号機の
線量が高い場合の遠隔操作による燃料取り出しは、新たに導入する燃料取扱設
備、輸送容器を用いるため、作業の詳細は今後の検討によるものの、号機あた
り2~3年程度を目標とする。今後、作業環境、燃料の状態等を確認し、作業
体制、作業手順・時間等を検討した上で、具体的な計画を立案していくが、第
2期(後)までに、1~4号機全ての燃料取り出しの完了を目指していく。
なお、燃料取り出しを計画通り実現するにあたっては、以下に示すような工程
に影響を与える可能性のある課題を解決する必要があり、関係者と協力・連携
しつつ、安全確保を最優先とした上で作業を実施していく。
- ガレキ撤去作業
現状、ガレキの落下状況や線量等未確認事項が多く、作業の長期化、追
加の可能性がある。
- 燃料取り出し用カバー設置作業
建物の損傷や線量の状況、基礎構築に支障となる地下埋設物の状況等、
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現時点で不確定性の高い要素があり、作業の長期化、追加の可能性がある。
- 共用プール復旧、共用プール内燃料取り出し作業
共用プール復旧に向けて設備点検中であり、想定外の不具合等の発生・
発見による修理等が必要となる可能性がある。
- 使用開始までの各ステップでの対応
燃料取り出しに係わる設備は、【設計→製造→設置→運用開始】というス
テップを踏む過程で、許認可を取得していくが、許認可期間を考慮して工
程を作成する。
- 燃料健全性確認
作業効率に配慮し、有効な確認方法、手順等を確立する。
- プール燃料取り出し作業
想定以上に破損燃料割合が多い、あるいは燃料の損傷程度が想定以上の
場合は、作業の長期化、追加の可能性がある。
遠隔操作、特に遠隔操作による不具合・点検修理対応、物理的変形等の
燃料取り扱い等の経験がなく、設備の信頼性・安全性の向上、作業迅速化
を目指し、先行号機等での知見・経験を反映した設備、作業手順を整備す
る。
(4) 取り出し後の燃料の取り扱いに向けた研究開発
使用済燃料プールから取り出した燃料は、当面の間、共用プールに保管する。
これに並行して、海水の影響等も踏まえた長期的な健全性の評価及び対策、並び
に再処理に向けた研究開発を実施する。(詳細は別冊1「研究開発計画」参照)
(HP2-1): 使用済燃料の再処理・保管方法の決定
・ 使用済燃料プールから取り出した使用済燃料の長期健全性の評価、再処理に向
けた研究開発成果を踏まえ、将来の処理・保管方法を決定する。